『青年海外協力隊事業の社会的役割:これまでとこれから』

 

 なお、開催にあたり、学会の共通論題に青年海外協力隊がテーマとして上がるということは極めて感慨深い、というお言葉をいくつも頂きました。私も自分自身の22年間の歩みを振り返り深くそのように思います。

 以下、会場で配布させて頂いた資料を以下に簡単にご紹介いたしますととともに会場で出ました質問について簡単に掲載させていただきます。

座長:横浜国立大学 藤掛洋子

日時:2015年11月28日(土) 16:55-18:25(*10分遅れて開始)

場所:新潟大学 E260会場

対象者:国際開発学会学会員・新潟市民・JOCVOB/OG他

背景と主旨説明

今年50周年を迎えた青年海外協力隊とめぐる環境は近年大きく様変わりしている。特に「ODA大綱」から「国際協力大綱」への変更や日本政府のグローバル人材育成と青年海外協力隊、地方創世と協力隊事業との連携、企業の協力隊連携派遣、大学連携短期派遣などは特徴的であるといえよう。

 50周年を迎えた協力隊事業は、これまでの良い面は引き継ぎながらも、新たな社会の局面の中で変わらなければならない点も多々あると考える。「グローバリゼーションによる新自由主義的な競争による成長」(新潟国際情報大学平山征夫学長)のみを追い求めるのではなく、地域に根ざし、社会の随所においてJOCV経験者が日本をけん引していく(外務省国際協力局豊田欣吾審議官)ような社会はどのようにすればできるのであろう。

本セッションでは地域おこし協力隊(千葉大学大学院研究院佐藤敦会員)やNGO活動(NPO法人多世代交流館になニーナ代表理事佐竹直子氏)などの具体的な事例も参考に考えてみることを試みた。ここでの議論を通し、短い時間ではあるものの、会場の皆様方とともに変わりゆく社会の中でJOCV事業の今後の果たすべき役割と課題、可能性をついて検討を試みた。

<共通論題の流れ>

主旨説明・司会進行 横浜国立大学大学院教授 藤掛洋子(パラグアイ家政隊員) 

基調講演 新潟国際情報大学学長 平山征夫氏

     「新潟から国際協力を考える」

これからのパネル討論に向けて:国際開発学会第26回全国大会実行委員長 新潟大学 宮田春男教授

パネリスト1 外務省国際協力局審議官 豊田欣吾氏

      「青年海外協力隊と我が国開発協力の政策展開」 

パネリスト2 千葉大学大学院人文社会科学研究科特別研究員佐藤敦氏

                  (セネガル視聴覚機器隊員)

「海外ボランティアの経験は地域おこしの力となるか:

 地域おこし協力隊へのJICAボランティア任期終了者の参加に関する試論」

パネリスト3 公益社団法人誕生学協会理事佐竹なおこ氏(新潟県長岡市)

               (フィリピン幼稚園教諭)      

       「青年海外協力隊の経験を地域のNGOにいかす」

質疑 会場からのご質問を3つ受け付けました。

1. 東京大学東洋文化研究所新世代アジア研究部門佐藤仁教授より、「顔のみえる援助と顔のみえない援助について」、

2. 大阪大学人間科学研究科中村安秀教授より「外国につながる方々との関わりや国籍を超えた支援の可能性について」、

3. 関西大学総合情報学研究科の久保田真弓教授より「青年海外協力隊の活動が『グローバル人材育成』の可能性を担うならば文科省との議論の可能性を模索すべきであるという」ご指摘を頂いた。

質疑応答の後、国際開発学会会長 高橋基樹神戸大学教授より終わりのことばを頂きました。

ここでの議論は改めてなんらかの形で公開できるように尽力したいと思います。

ご参加頂いた皆様方、ご協力頂いた皆様方へ厚く御礼を申し上げます。

引き続きご指導頂きたくどうか宜しくお願い申し上げます。

                                        藤掛洋子