戸籍の翻訳を通して考えたこと

戸籍の翻訳を通して

2008年12月24日、大変お世話になっている方に戸籍抄本の翻訳を依頼されました。ポーランド国籍の方と結婚されている
ご家族がカナダに移住されるとのこと。
お安い御用と引き受けたものの、流石に年末、なかなか思うように時間が取れず、やっと翻訳開始。すぐに終わると思いきや、
項目の中に、「戸籍事項改製 改製日 改製事由 平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」とある。
改正ではなく、改製と書くのか・・・。しかも、この法務省令はなんと訳せば良いのか・・・。
『法令用語日英標準対訳辞書』2008をみても翻訳事例を発見できない。大使館に確認すると、どうも抜粋で良いらしい。

なろほど、そうだろう。考えてみると、戸籍のある国が世界の中ではそもそも少ない。世界で戸籍制度のある国は、日本と韓国、そして台湾だけなのである。韓国は、2008年に個人戸籍へ移行した。結果、子どもの姓は父母どちらの姓を選択してもよくなり、父の姓から母の姓への変更も可能となった。日本とはずいぶん違う。日本では、まだまだ議論が続いている待婚期間6ヶ月も廃止となり、男性中心の制度から個人的戸籍制度へと変わった(http://www.ko-kekkon.com/jo-ho/2006/04/post_37.htmln 「国際結婚@情報ステーション」も参照 2008/12/24アクセス)。これまで、家父長制や儒教と男尊女卑の関係から日本としばしば比較されてきた韓国であるが、この2008年は韓国にとっては大きな前進の年であると思う。

一方、日本の戸籍制度は、個人の出来事を家全体の出来事として記録し続けており、戦後の新憲法で家制度は無くなったにも関わらず、「家長」を中心とした「家族制度」を踏襲した形で続いている(ibid.)。戸籍筆頭者には、夫・妻のいずれでも記載が認められるものの、圧倒的多数が夫の名前を記載する。自分自身が結婚した20年前、なんの議論もなく、夫の名前が当然のごとく戸籍筆頭者に記載される家族の価値観や役所の人の対応に強烈な違和感を覚え、抵抗し、離婚を考えたことを思い出した。

戸籍は、公文書である。この公文書がなければ、パスポートも作れないし、婚姻届も出せない。日本の戸籍制度に関しては議論のつきることはないが、結婚して20年も経つとこの制度に疑問を持っていたこと事態を忘れてしまうということに恐ろしさを感じてしまう。日本も早く韓国を見習うか、戸籍制度を無くすことを考える必要があるのではないだろうか。

以下は参考に
一般的に用いられているブランクフォームです。

TRANSLATION OF AN EXTRACT FROM A HOUSEHOLD REGISTER

Householder
Name:
Permanent domicile:
Date of extract:

Subject
Name:
   Sex:
   Date of birth:
   Date birth was reported:
   Father’s name:
   Mother’s name:
Name of spouse:
   Date/place of marriage:
Name of former spouse:
   Former marriage terminated by death: divorce:
   Date/place of divorce/death:
Other relevant information:

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I certify that the foregoing is a correct translation.

Translator’s signature:

Translator’s name and date: