「延長したくない!」3歳11か月

2009年5月21日の朝、
シオン:「ママ、きょうはえんちょう、したくない」
ママ:「延長は嫌なの?」
シオン:「・・・」

彼は保育園にいる時間が一番長い。朝7時には保育園に「一番乗り~」と到着し、20時の延長ぎりぎりまで保育園にいる。
保育園の先生たちは教育者として大変立派で、彼はかなり早い時期から、保育園が大好きな子どもになった。特に、3歳児になってからは延長が少なく、保育ママ(横浜市の保育制度に登録している方)の時間が多いと嫌だと主張する。同年代の子どもたちと遊びたいのだろう。
しかし、今日は延長をしたくないとダダを捏ねる。
ここは一つ、彼のためにがんばって仕事を終わらせよう。

ママ:「じゃあ、19時には迎えに行くね」
シオン:「いやだ、もっと早く。3時とか4時に」
ママ:「それは無理なんだよ~。本当にごめんね。でも、がんばって19時には必ず行くから、指きりゲンマン!」
シオン:「わかった・・・」

母は時間になると仕事を一旦放り出し(あ~あ)、19時丁度に保育園にやっとこさで到着。ふ~、シオン喜んでくれるかな(ウキウキ)!
彼のいる組の前に到着すると、緑色の(ピーターパンと子どもたちが呼んでいる)服と帽子を被ったシオンにばったり。

ママ:「シオン~、約束通りお迎えにきたよ♪♪」
シオン:「ママ、お迎え早い!きらい!」と言って彼は駆け出し、隣の部屋でピーターパンの緑の帽子を投げ捨てて壁にぶつけ、大きな涙をポロポロと流しだした。そして、大声で泣き出した。
ママ:「あれ~、ママ、お約束守ったんだけれど。どうしよう、じゃあ、もうちょっとしてから来るから、ピーターパン、踊ってくる?」
シオン:「ママ、きらい、あっち行ってて、踊っているの見ないで、2階に行ってて」と大泣き。
ママ:「わかった、シオン、じゃあ、ママ、あとでまた来るからね、ほらほら、踊っておいで」
と私は彼をなだめすかし、中途半端な仕事を少しでも進めるため、先生に事情を話し一旦保育園を後にした。

19時45分に再び園に

保育園の扉を開けるや否や、この世の終わりのような声で、大きな保育園中に響き渡る声で泣き叫ぶシオンの声がほら穴(子どもたちの大好きな空間)から聞こえてきた。もしやと思いのぞいてみると、やはり彼は先生と一緒にほら穴にいた。
シオン:「ママ、ひっく、なんでいなくなったの、ひっく」
ママ:「だって、ピーターパンを踊ってたから」
シオン:「でも、だってぼく、2階で待っててて言ったよ、ひっく」
ママ:「ごめんね、忘れ物もしちゃったし。」
園の先生:「彼はなんで保育園からママがいなくなったか、ちゃんとわかってますよ(笑笑)。そうだよね、シオンくん。」
シオン:「ママが、ひっく、お迎えにきてくれたのに、ひっく、シオンが、ひっく、かえりの、ひっく、おしたく、ひっく、しなかったから、ひっく。」
園の先生:「しおんくん、ママがお迎えにきたらどうするんだっけ?(笑笑)」
シオン:「ひっく、ピーターパンの、ひっく、おどりを、ひっく、やめて、ひっく、おしたくするの」

ピーターパンを踊り終わった19時20分頃、ママがいないことに気づき、それからずっと大泣きだったとのこと。
あれれ~、ごめんね。大好きなお友達が延長にいたから、そのお友達と踊りたいのかなと思ったんだ。

翌日シオンは先生に向かって:「今日は○▽先生がピーターパンの踊りを踊ってね、って言っても、僕はママが来たら帰るからね?いい?」と説明したそうだ。
園の先生:「昨日のことがよっぽと懲りたようですね、今日は先生に頼まれても踊らないからね」と言ってましたよ(笑笑)。

子どもの主張を的確に読み取りたいと思うものの、どうしても仕事の都合、大人の都合で色々な判断をしてしまう。
彼は、母は2階で待ってくれているものと思っていたようだ。彼のテリトリーの中に保護者がいれば安心。しかし、大好きなお友達と踊っているのを母に見られるのは恥ずかしい、ということだったのだろう。シオン、ごめんね。
彼が親に求める距離が確実に変化している。はじめは密着、少し前までは、彼の目の届く範囲だった。しかし、最近は彼のテリトリーは、例えば、家の中や保育園の中などである。そこに親が居れば安心ということなのだ。彼と過ごす時間は大切にしたい。彼が少しずつではあるが親から離れているのもわかる。子どもが親を必要とする時間もあと10年ぐらいなのだろうか?成長している彼の気持ちや希望をきちんと読み取るためにも、そしてシオンと過ごす時間を大切にするためにも、もうすこし子どもの目線に立たなければならないなと反省。